天然・養殖真珠の形成
天然真珠の形成
天然真珠は外套膜組織が傷つき、その細胞が真珠貝殻内の通常とは異なる場所にちぎれて置かれることにより形成されると考えられています。外套膜の特定の細胞はバイオミネラリゼーション(生物が鉱物を生成する反応)により、殻や真珠の構成要素である炭酸カルシウムを分泌する役割を担っています。ちぎれた外套膜細胞はその場所で「真珠袋」と呼ばれる、真珠層を生成する膜からなる風船状の組織を形成し、その中で真珠は時間をかけて成長し、また真珠袋も真珠の成長と共に大きくなります。
天然真珠の形成をひきおこす外套膜の傷害としては、外的生物による真珠貝への攻撃などが考えられます。外套膜は真珠貝内で炭酸カルシウムを分泌できる唯一の組織であり、全ての天然真珠は外套膜から生じます。
このような真珠の形成過程を踏まえると、真珠が砂粒を起源とするという古い説は否定されます。まず砂自体は不活性な物質で外套膜を刺激することはありません。また外套膜組織内に砂が侵入することも自然条件下ではまずありません。SSEFではこれまでに数千個の真珠を検査してきましたが、天然真珠の中に砂粒が入っていたケースは見つかっていません。
養殖真珠の形成
養殖真円真珠は20世紀初頭にその作成が確立しました。御木本幸吉は見瀬・西川法を発展させ、真円の真珠を1919年から市場に供給し始めました。養殖真珠の作成には次の3つが必要となります:移植を受ける真珠貝、ドナーとなる外套膜細胞、そして核となるビーズです。核の材料としてはミシシッピ川産のイシガイ科に属するドブガイの殻(この殻も炭酸カルシウムで構成されています)を球形に削り出したものが使用されます。
移植された外套膜を小さく切った「ピース」は核に沿ってゆっくりと真珠袋を形成します(真珠袋は約30日程度で形成が完了します)。この真珠袋内で核の上に真珠層が徐々に形成され、養殖真珠となります。基本的な有核真珠の作成方法はその当初からほとんど変わっていません。参考までに「真珠生産の持続可能性」章中の、フレンチポリネシアでの真珠養殖プロセスを紹介するビデオをご覧ください。
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