サファイア分析の科学
サファイアは様々な分析手法と顕微鏡観察を組み合わせ、人為的処理が施されているか否か、原産地はどこかなど、科学的に解析されます。
紫外-可視領域分光法による原産地同定
紫外-可視領域分光法は光の各波長の吸収を測定する一般的手法で、サファイアの色の分析、また化学組成と原産地の候補についての情報を得ることができます。
紫外-可視光領域の吸収パターンを分析することで、どの波長が吸収・透過されているのかがわかり、これが色の発色原因となる元素(例:鉄・Fe2+/Fe3+、チタニウム・TI4+)の有無とその相対的濃度に関する手がかりを与えてくれます。この分析はサファイアを特徴づけるのに有効で、原産地に関する手がかりとなります。下の図は玄武岩鉱床由来のサファイア(左)と変成岩鉱床由来のサファイア(右)の特徴的なスペクトルを示しています。
サファイア産地同定のための微量元素分析
サファイアの化学組成に関する情報は、その地質学的・地理的由来を明らかにする重要な手がかりとなります。そのような高度に科学的な分析には、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDXRF)やGemTOF 質量分析法といった手法が用いられます(以下のビデオをご覧ください)。
微量元素分析の結果は、信頼性の高い原産地の情報が明らかなサンプルのデータベースと照らし合わされ、そのサファイアの産地がどの国の可能性が高いかを判断します。以下のビデオでは、3種類の微量元素を使用し、SSEFが保有するサファイアコレクション(ビデオ中の三角形の印)を、参照産出地(ビデオ中の丸印)由来のサファイアと比較分析した結果を示しています。
また、インクルージョンがサファイア表面に出ている特殊なケースでは、放射性同位体を使用した年代測定も可能です。この分析により、産地に関する情報だけでなく数百万年前に形成されたサファイアの歴史についても知見を得ることができます。
SSEFによる検査分析レポート
SSEFによるサファイアの検査分析レポート例:
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